今は?
「あ、てうかさ! カイトだったら今はやりの…なんとか王子とかなれそうじゃんっ テレビとかでわーわー騒がれちゃったりしてさ ハハハ」
空気が重くなりそうな気がして僕は出来る限り明るく振る舞ってみる。
我ながらわざとらしい演技をしてしまった…
「ユキは俺がそうなった方がいい? うれしい?」
カイトが意外にも生真面目に返してきたので、一気に元の低いテンションに戻る。
「…うれしいっていうか 俺はカイトが…俺がカイトに制約をあたえちゃったりしてるのかな…なんて 自意識過剰かもしれないんだけど」
「バスケも バレーも 陸上も 野球も 別に好きじゃない やってる時はそれなりだけどそれだけ。」
「カイト …だけど」
両手を首の後ろにあてて、カイトは校庭のずっと先を見ながら言う。
「前はさ、何やっても退屈でさー充足感?ないっていうか…けど今はさ」
「今は…?」
「すげー楽しい!」
無邪気なカイトの笑顔に少しだけ安堵をおぼえて、つられて僕も笑う。
「アー腹減った ユキ昼飯食ってこーぜ」
「うん」
僕もカイトといるのは楽しいんだ。





