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2007年10月

今は?

「あ、てうかさ! カイトだったら今はやりの…なんとか王子とかなれそうじゃんっ テレビとかでわーわー騒がれちゃったりしてさ ハハハ」
空気が重くなりそうな気がして僕は出来る限り明るく振る舞ってみる。
我ながらわざとらしい演技をしてしまった…

「ユキは俺がそうなった方がいい? うれしい?」
カイトが意外にも生真面目に返してきたので、一気に元の低いテンションに戻る。
「…うれしいっていうか 俺はカイトが…俺がカイトに制約をあたえちゃったりしてるのかな…なんて 自意識過剰かもしれないんだけど」

「バスケも バレーも 陸上も 野球も 別に好きじゃない やってる時はそれなりだけどそれだけ。」
「カイト …だけど」

両手を首の後ろにあてて、カイトは校庭のずっと先を見ながら言う。
「前はさ、何やっても退屈でさー充足感?ないっていうか…けど今はさ」
「今は…?」

「すげー楽しい!」
無邪気なカイトの笑顔に少しだけ安堵をおぼえて、つられて僕も笑う。
「アー腹減った ユキ昼飯食ってこーぜ」
「うん」

僕もカイトといるのは楽しいんだ。


 

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夢の中でも同人…(サク)

冬コミの当落時期が近づいているからでしょうか?

夢の中でイベント参加してました〜しかもなんか変な新刊出してるしっ…ι(明らかに自分のジヤンルでないような…しかも『やっつけ本』。夢くらい納得のいく同人を描かせてくれ〜←こういう根性がまずいけないのです)

つまり夢の中ではちゃんとスペース取れてるんですよね。
極めつけは夢の在庫完売してました‼ 夢だけに。リアルじゃぜったいありえんよ…
ギャップがあるほど覚めたときに、とほほだすなあ。
その上落選でもしたら、…ってここんとこずっとスペース取れてるからそろそろやばいかも。

あの当落封筒、開けなくても宛名のとこで結果分かるじゃないですか。
怖いですよね?私、封筒自体にしばらく近づけないですもん。(心を落ち着かせてからそっと見る)

そういうビビリ魂だから夢もみてしまうんでしょうね〜
たださえ睡眠足りてないのに。爆睡48時間位したいス…

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ねんねなんだからな

「あいつ 多分バイだから気をつけろよ」
第三体育館脇のベンチにすわっていたところへ、シャワーを終えたカイトが戻ってきた。

「あ、おつかれ 何?その«バイ»って?」
「は〜あ… ねんねなんだからな ユキは」
ため息をつきながら、ドカっと僕の隣に腰掛けて長い足を投げ出す。金髪がまだ少し濡れていた。

「オトコもオンナも抱けるって事だよ」
「はっ⁈抱けっ」
ちょっと待って なんでそれで僕が気をつけなきゃならないんだ?
「ちょっちユキちゃんにはムツカシすぎたかね〜顔真っ赤〜」
クククとカイトが笑う。 いったいなんなんだよっ

それより僕は、カイトに聞いておきたい事があった。
さっき来栖礼壱に言われた事を真に受けた訳ではないけど…

「カイト…さ、ホントは俺の事…気遣っていつも一緒に帰ってくれてたりする?」
カイトは僕が中学の時いじめの対象だったのを知ってる。(…これは珠子事件の結果なのだけど…)
それまでも、僕のこのからまれやすい顔とか、ひ弱そうな線の細い体系(ああ自分で言ってて嫌になる)を心配して守ってくれようとしたのかな、とか…

「カイト お前ホントはやりたい部活とかあるんじゃないのか? 俺に遠慮してるんなら」
カイトは帰宅部の僕と一緒に帰る事がほとんどだ。
最近は神無月祭の準備で別々が多いけど… 来栖礼壱の言う通り、このままじゃカイトのせっかくの天性や才能が無駄になるかもしれない。 

僕のせいで…。

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分かりやすいだろ?

「ゴメンゴメン 怒っちゃった? だって君があんまり可愛いからさ」
可愛いって……
バスケコーチの来栖礼壱が、かがんで僕を下から覗き込む。

「フォローになってませんよ……先生」
「ハハハッ そうか そうだな  あ、ねえ君って夏目カイトの友達?」
「…え、はい そうですけど」
試合はもう再開されている。軽い口ぶりにやや鬱陶しさを感じながらも、カイトの名前を出されたので渋々答える。
「君からも言ってくれない?バスケ部に入れってさ このままじゃせっかくの天性も宝の持ち腐れだ」
天性…確かにそうも思う。
以前(バスケに限らず)運動部への入部を薦めた事もあったわけだし…

でも

「それはカイトが決める事だと思うので…」

「あれだな、 夏目は君が心配で別の事に専念できないんじゃないのかな?」
「…どういう意味ですか?」
「僕が奴ならそう思うかもって事だよ 目を離したら他のオトコにとられるかもしれないって ね」
と、来栖礼壱がそう言い終わるか終わらないかの刹那、バスケットボールが来栖めがけて飛んできた!!
「おっと」
結構勢いのあったボールを軽々キャッチする。
こいつ…見ないで取った……

「すーいーまーせーんー 手がすべっちゃって〜」
カイトだ。不気味なほど満面の笑みで手を合わせながら謝っている…
コートへボールを投げ入れると、来栖は僕を向いて言う。
「ほら 分かりやすいだろ?」


 

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ガキ使山モリ対決(サク)

サクです☆今宵2度目のつぶやき更新です!
強い強い!やはりモリ夫最強っす!

でもさすがにコンペイ糖対決は痛そうだったなあ……(関係ないですけどコンペイ糖の色合いってすごく可愛いです♡苦痛とはいえ山崎さんなにやらメルヘンな感じに見えましたよ←すいません、やや脳眠ってきてますので…)

勝負は来週も続くようですが、今日はピカデリー梅田様の決め台詞を聞けてザッツオール!!
今週も仕事頑張るとします。

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台風一過、波はまだ高く

空中で受け取ったライブボールを、スリーポイントゾーンからフリースローゴール!
流れるような動きでカイトがリングにシュートを決めた。
相手チームの面々はあまりの疾さに、呆然としている。

「ユキーっ!! 見てた?!今のー」
「バっ …さ、叫ぶなって!そんなとこからッ 恥ずかしいだろっ」
コートのど真ん中からカイトが両手を振っている。カイトを見に来たと思われる女子達の視線が、一斉に僕に向けられる……ホント睨まないで、ほら僕オトコだから……怖い。

今日は日曜で、空いてる第3体育館を使ってのバスケ練習。
来週の神無月祭に向けて、1年の任意のクラス代表同士で模擬試合をしている。

『絶対来て! ちょーかっこいいとこ見せるから つうか来い』
………むか………
朝、起き抜けにカイトからのメール。 これといって用事もないし…カイトの様子もなんとなく気になったので、台風一過の青空の下、午前中から学校に来たという訳だ。
それにしてもカイトの運動神経は目を見張る物がある…いろんな運動部の勧誘が絶えないのも、もっともな話だ。
「ホント、勿体ないなあ。 彼なら今すぐうちの部のポイントゲッターになれるのにな」
話しかけられたのか独り言なのか、僕の脇から男の声。

«来栖 礼壱(クルス レイイチ)» この高校のバスケ部の顧問。
たしか、20代ながら前いた某高校の無名バスケチームを、一昨年の全国大会ベスト4まで引き上げた伝説ヘッドコーチ。元選手だけに背も高く、僕は上目遣いで彼をちら見する。
「夏目カイトだっけ? あの長身で無駄が無いだろう? あれ君 女の子だと思ったけど」
「男ですっ」
日曜だからって私服で来たのが間違いだった。(いや…そもそも来たのが間違いだったのかも)どうも僕の顔は男気が無いらしいのだ………

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未来日記新刊ゲット(サク)

遅ればせながら。ユキの双子の姉、柏原サクです。
何度か『トラックバックヤロー』兄イにトラックバックなどしてましたのでお気づきの方もいらっしゃるでしょうが、このBL小説の腐作者の分身となり、ヲタなネタ中心につぶやいていこうかと思ってます。

昨日「未来日記」の4巻を手に入れました!!待ちに待ち…(感涙)
この漫画で美形キャラはもはや登場しないものと思っていたのに(ユッキーはおいといて)、「秋瀬 或」なるカヲル系キャラで撃沈!!!す、素敵すぎるよ……秋瀬くんっ(キラキラ)しかもユッキーにヒップタッチか?!(ちがう?笑)
おもわず同人描いちゃおうかと思っちまいましたよ。或ユキで。(おっと、どっかで由乃が聞いてますぜい)
とにかく死なないで(殺されないで)欲しい(切実)…。日記の所有者じゃないのが救いかしら??

エースは読んでないので続きは5巻を待たないと…今からドキドキなのでした。

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鷹木晴彦+西園寺珠子イラスト

Photo
久々にタブレットなんか使ってイラスト描いてみました!しかもBLコンビじゃないよ(笑)
『西園寺珠子について』の珠子と、機嫌の悪そうな晴彦君です。PCでアナログっぽく描いたのは始めてかもな〜完成までに一回フリーズしたりして一日かかってしまったり…なんとか夜を向かえるまでにアップ出来て良かったス☆

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西園寺珠子について3

ひょっとしたら珠子の悪態やプライドは、他人から身を護る為の盾なのかもしれない…彼女が彼女として生きるには…『死んでいい人間なんていない。今ここに、誰かが生きている限り』
あの頃、僕が先輩にもらった言葉。

「どうして俺にかまうの? …俺はオトコだから、あんたから鷹木先輩をとったりしないよ?」
そうだよ。
あんたには先輩がいるじゃないか。
「私はあなたに興味があっただけよ」
「興味って…あんた、俺やカイトに」
「ゴメンねー いじわるなの 私。 でも…ユキ君の事、嫌いじゃないわ」

珠子の言わんとする意味がよくわからない。
今の今まで珠子の印象は、とても僕に好意をもってるとは思えない…からかわれてるのかな?

「ねえ、一応言っとくけど あなたの中学時代の話を教えてくれたのは…晴彦君じゃないからね」
「…」
「あなた達と同じ中学の人に聞いたの 晴彦君の名誉の為に言っとくわ」

じゃあねといって、珠子は校舎に戻っていく。その後ろ姿をだまって見送りながら 僕はなんだか‥西園寺珠子という人となりが少しわかったような気がした。 
僕よりも、癒えない傷を抱えているように思えたんだ……

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西園寺珠子について2

「ヤな時に来るわね、あなた」
吸ってたタバコを踏みつぶす。
信じられない。優等生然とした美少女のこれが本当の姿なのか…
「…未成年だろ、それに…特に女の人は将来…子供とか生むのに」
「あはは! なんであなたが私の体を心配するのよ  バカみたい」

屋上には僕と珠子だけ。
目の前でタバコを吸われて、それがたとえ珠子でも…なんとか言わずにはいられなかった。おせっかいだってわかってはいるんだけれど。
「…鷹木先輩だって同じ事を言うと思うよ 」
生真面目な先輩の事だ。こんな事を知ったら、きっと悲しむんじゃないだろうか?自分の彼女が……

「そうね…晴彦君は軽蔑するわね 私を……」
はじめて見る珠子の、心底寂しそうな表情。それを見た僕に気づいたのか、くるりと背を向けて2、3歩遠ざかる。その時また強い風が吹いて、珠子の真っ白なうなじが見えた。オトコだったら大抵が彼女を美しいと思うだろう。そう…先輩も。珠子こそ先輩が好きになった少女なんだ……
「私ね、友達いないの …言い寄ってくる男子は腐るほどいるけど」
「え?」
珠子が振り返る。
「机に死ねって書かれた事もある…«いじめ»なんて幼稚だわ 自分が惨めになるのが嫌だから、私は自分がいじめられてるなんて認めないの。 でも…」

どうしてそんなに微笑んで

そんな事を、話せるんだ?

「でも誰かが…私が死ねばいいって、この世にいない方がいいって思ってるって分かった時は さすがに痛かったわね」

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カボチャおばけの誘惑(サク)

たまんないです!オレンジとブラックのあのおどろおどろしい感じ…くりぬかれたカボチャの不敵な笑み。

ハンズやらロフトやら時には近所のホームセンターのハロウィンコーナーで、あまりの怖可愛らしさにハロウィン萌(またかよ 笑)。

カボチャの形の電飾まであるんです!暗闇にいくつも連なった奴が光る…(残念ながら室内用ぽかったんですけど)

とにかく装飾系グッズ大好きなんで、色々買い込んで自室をハロウィン仕様にしてみる。目標は冬verのプチホーンテッドマンション!?…ってやっぱ違う方向に(センスがあああああ 涙)
あ、そういえばホーンテッドマンションの庭に飾られてる巨大なカボチャ達、あれ本物なんでしょうか??手触りは本物ぽかったんですけど…

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西園寺珠子について1

美術部の部室を解放するにあたり、部室内の諸々を一時的に最上階にある倉庫に移動する。
最後の荷物を運び終わり、倉庫内の窓を何の気無しに見る。

窓の外には、向こうの棟の屋上。

手すりにもたれかかる一人の女子生徒… 『西園寺珠子』。

関わりたくないと思いつつ、そうもいかないような状況を目にしてしまった。
一瞬自分の瞳を疑う。空を見上げて"くわえタバコ"…時折吹く海風に、珠子の長い髪が大きく揺れていた。

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先制のカイト 恋は無敵3

10月の末ともなると日が暮れるのも早い。
暗い空でもまだら雲がぼんやりと見える。そのスキマに真珠みたいな月が浮かんでる。
「カイト、なんとか言えよ…気持ち悪いだろ」
「………」
「カイト! 俺は別にお前を応援してないって訳じゃないんだから!」
歩きながら何も話そうとしないカイトにたまりかねて僕は言葉をぶつける。
早足で歩くカイトに追いつこうとして何かに足がつまづく。『わっ』と叫んでおもいきり転んでしまった……(念のため言っておくけど僕は決して鈍いわけじゃないんだ…)痛い……

僕が自分で起き上がるよりも先にカイトが飛んできた。しゃがみこんで心配そうに僕を見る。
「大丈夫かよ!見せろよ!うわっ 手、擦りむけてんじゃん」
「痛い…いや大丈夫…」
「洗わないと、…ああダメだ俺、お前放っとけねーよ」
「カイト、あの…気に触ったんなら謝るよ」

無神経な事を言ったバチが当たったかな?僕はカイトにだって勝ち進んで欲しい。心からそう思ってる。
「俺、明日からバスケの練習出るわ」
「え?どうしたの急に」
カイトに支えられて立ち上がる。痛い…右膝もかなり打ったらしい…
「本気で、勝ちたいから」
「…うん」
「もしさ 俺らのクラス優勝したらさ」
カイトが急に改まった感じで、静かに何か言いかける。
「なに? はっきり言えよ」

「チューしていい?」

「バカ‼」

人が真面目に話してるのに!
カイトの腕を振り払って、痛む足を引きずりながら無様に歩く…
「おいユーキ! 冗談だって!ハハハ」
カイトは、いつもの弾けんばかりの笑顔。

まったくカイトって奴は…。

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先制のカイト 恋は無敵2

「じゃあさユキ、«鷹木センパイ»に俺が勝っちゃったら俺がすごいって事じゃん」
にやりと笑ってカイトが言う。
「まあ…そうだけど でも無理だよ」
「なんでよ」
「…先輩が誰かに負ける所なんて、見た事、ないから」
自分で先輩の話を持ち出しながら、何だかドキドキして…おもわずうつむいてしまう。
先輩に抱きしめられたあの日を思い出して、そんな自分がまた嫌になる。

「ふ〜ん… ユキは…鷹木さんが、好きなんだ?」
「はっ⁉な、なに言ってんだよ カイト」
ふいと僕から目をそらして、不機嫌そうに金髪に染めた髪をかき上げる。
カイトが黙ってしまったから、僕も次の言葉がみつからない…
「ほらほらっ!オトコ同士のラブトークはそのくらいにして、用が無いならさっさと帰る!施錠出来ないでしょ」
カイトと2人、五状茉莉にドンと背中をどつかれ慌てて部室を後にする。

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先制のカイト 恋は無敵1

『神無月祭』まであと10日、放課後はこの学校の誰もが忙しない。
美術部員の僕も例外ではなく、部室を展示会用に解放するためのスペース作りやら、展示用の作品の選別やらでここ数日、帰宅部は返上せざるえない状況だった。

「カイト…おまえさ、こんな所で暇そうにしてないでバスケの練習でもしてこいよ」
部室のすみで、カイトが背もたれを前に椅子をまたいで座っている。
「練習なんかかったりーもん、スポーツの申し子はそんなの必要ないの」
「なーんて、カイト君 柏原と一緒にいたいだけな〜んじゃないの?」
イーゼルをいくつも抱えながら、美術部長 五状 茉莉が口をはさむ…
「そうっ!そ〜なんだよ! マリちゃんさすがわかってる♡」
「……………五状先輩、ほら…そいつ すぐ調子にのるから」

カイトの性格なんだろう、いつのまにか美術部のみんなに馴染んでしまってる。普段、僕を含めあまり男子と話をしないタイプの女子部員とも楽しげに会話していたり、年上の五状 茉莉を初対面で『マリちゃん』と呼んでみたり。それでいて相手も心を開くんだから、ある意味貴重な才能だと思う。

ちなみにカイトは、全クラス対抗バスケッット大会の選抜選手だ。
本人もそう言っているように、スポーツに関しては何をやらせてもずば抜けてる。ちょくちょく助っ人として、色々な運動部に駆り出されてる。
前にカイトに、特定の部活入ったらどうかと薦めたら
「天才は万人に平等じゃないと」
…だって。  


「ひょっとして俺らのチーム、マジで優勝するかもしんない」
一段落して片付けをしていた僕の隣で、カイトが呟く。僕らのクラスには現役バスケ部員が3人いて、もちろんその3人も選抜メンバーだ。そうかもね、と言いかけてある重大な事に気づいた。
「無理だよ カイトだから…いいところまでは行きそうだけど」
「なんでよ」
あきらかにカイトは不服そうだ。
「鷹木先輩、今年も選抜だって。クラス変わらないからメンバーも一緒だろ?…鷹木先輩は負けないよ 誰にも」

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優しさの痛み

先輩の鼓動が自分のそれのように伝わってくる。
僕は、拒む事も、かといって先輩の背に腕をまわす事もせずに…ただただ嗚咽をこらえるのが精一杯。

なんなんだろうこれは。

これは先輩の優しさだ。
じゃあこの心の底の痛みみたいなものは?
«何を今更、 叶うわけないってお前は分かっていたじゃないか ユキ»

しばらくして、先輩が僕の両肩に手をおいて静かに体を引き離す。
「もう暗い話はやめだ! なんか腹へったな …そうだ柏原 なんだっけ?あの甘味処寄って帰るか?」
「………スグリ屋………」
僕はまだ半泣きで、間抜けな感じで答える。
「ああ、それそれ! せめて俺におごらせてくれ」
先輩は、わざと明るく振る舞ってるみたいに見える。僕を気遣ってくれている…

僕は(きっと先輩も)もっと話したい事があったはずだ。
カイトの事、珠子の事、僕や先輩の事…

なんでこんな風になってしまったんだろう。

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金星、ぼくのすべてに3

「なんかさ、中学の頃をひきずってるんだよ 俺…柏原には俺がいないとって勝手に思いこんでさ」

そうか、…そうだね、
中学時代、先輩にとって僕はずっと『弟』みたいな存在だった。

なのに僕はうらぎった。
先輩を好きなら、僕は先輩を兄として見るべきだったんだ…
不誠実なのは…僕のこころ、僕のすべて。
「これからは、あいつが…夏目が お前を守ってやれるのか?」

そういうんじゃなくて…

僕は……

僕の、願いは

「このまま…で いてよ  変わらないでいてよ…嫌だ」

かすれて声にならない。ああ、また僕は泣いてるな…
しかも僕は無意識に、先輩の左袖の裾をつかんでる…まるで子供だ。

「柏原…ごめん、 頼むから…泣かないでくれ」

「柏原」

僕はその場で先輩に抱きしめられた。

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ワタシのやめられないこと(サク)

やめられないこと!キャラとCPに萌えてしまう事です!

…アニメや漫画もちろんの事、最近では時代物の小説とかでもお気に入りのキャラにプチ恋愛してしまうのです。CPにいたっては妄想爆走しますし。不毛なんですけどね(汗)
某歳に開眼してもう幾数年になります。

一応、弱小サークルの同人描きなので(パロディやBL)、萌え心無いとなんにも描けない…と、言い聞かせる(笑)

特にやばいのはBL系の商業誌の表紙買いでしょうか…
表紙の2人がすごく素敵だったりすると帯とかあんまり見ずに買ってしまうんですね。家帰って読んでみたら私的には無い○○受けとかで(すいません下品で)、ライフゲージめちゃくちゃ下がったりして…いやすべて私の詰めの甘さがいかんのですが、ハハ…

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金星、ぼくのすべてに2

「待ってたんだ…お前と話したかった」
ぎこちない感じ。神妙な顔でそう言われて、不吉な予感ばかりが胸を覆う。
『僕』は?話したい、話したくない…いったいどっちなんだろう。
「帰るか」
うなずいて先輩の1歩後ろを力なく歩く。
駅ではなく、1つ先の角を曲がる。僕がよく歩く、海の見える堤防沿いの道だ。

「あれから…さ、調子悪くて…的に全然当たらないんだ」
「…めずらしい、先輩 仮にも弓道部の部長じゃない」
「そ。『部長のくせに』だ…情けないったらないなあ」
優しい声だった。
あれから、先輩も気にしていたのか。
波の音がする。先輩はゆっくり歩きながら、たまに僕を気遣うように振り返る。

「夏目は 先に帰ったのか?」
そらきた、と 僕は身構える。声が…出ない。
「違うんだ 柏原。そんなに怯えないでくれ……ごめん……謝りたかった」
「え?」
「俺は、あいつにお前をとられたみたいで、悔しかったんだよ」
なにを言ってるの?
僕と先輩は真っ暗な海を横に向かい合う。

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金星、ぼくのすべてに1

夕暮れの校舎。吹奏楽部の演奏が遠くに聞こえる。
今日は美術部で、『神無月祭』への出し物の打ち合わせがあった。といっても、どういう展示にするのかとか、特別にテーマを決めて新作を描くのはどうかとか、退屈な話…ほおづえをついて2時間。

僕は、自分の描きたいイメージを1人で描ければそれでいい。
大切な人にだけ見てもらえればそれでいい。

西の空にもう金星が光ってる。もうすぐ冬がくるんだ…そう思って少し寂しくなる。
早く帰ろう。

校門にさしかかろうとした時、間違えようもない人影が僕の目に飛び込んできた。
組んだ手をほどいて、僕を見る。
「柏原」
「…先輩」

痛い痛い痛い。金星のヒカリが僕を突き刺す。
嫌われるために好きになったんじゃないのに

逃げ出したかった。今日のこの接触が、僕と先輩の関係を決定的に壊してしまうような気がしたから。

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避けられてるのかな?

校門から校舎へと続く楓並木が少しずつ黄色く色づいてきたみたい。
もう少し寒くなったらこの道は黄金色の絨毯になるだろう。

『神無月(かみなづき)祭』を控え、学校全体がそわそわしているこのごろ。神無月祭っていうのは、ようするに学園祭の事だ。それの毎年の目玉が、全校22クラス対抗バスケットボール大会。クラスの選抜メンバーで1〜3年ごちゃまぜのトーナメント形式になってる。…ちなみに去年の優勝クラスは先輩のクラスだって。もちろん先輩も選抜メンバーだった。 見たかったな…

先輩とはあれきり会ってない。
いや多分会ってはいるんだ。
 昨日美術部の部室の窓を開けた時、たまたま部室連へ向かう先輩と目が合った、と思う……何人かの男子弓道部員と一緒だった先輩は、ふいと視線を僕から外した。そして何も見なかったようにしゃべりながら歩いてく。
避けられてるのかな?ちゃんと話さないと…先輩はきっと怒ってる…でも僕にも譲れない事があるんだ。

部室の机には先輩に見せたかった僕の水彩画。会心の出来と思っていたのに、なんだか今はとてもつまらない絵に見えた。自己満足の、ただキレイな色だけを重ねただけの一方的な絵…『自分に媚びてる』

僕はそれに手にかけた。 まっ二つに破いて捨ててしまった。

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夏目カイト16。ユキユキ日記1

AM8:15
今朝は最高に幸せな一日だった!愛しのユキのハグに成功〜♡
佐伯達に記念撮影までしてもらえたりして(あいつら結構いい奴だな)…ちょっとユキ、シャンプー変えただろ?ええいユキ!朝から少年がアロマで悩殺?!ああっなんて可愛いんだあっ

PM6:00
帰りユキと別れたあとドラックストアに立ち寄る。
記憶をたよりに、サンプルを片っ端から嗅いでたら、バイトのきれいなお姉さんが人気の新製品を持ってきてくた。
お姉さんナイスジョブ!!まさしくこの香りです♡アリガトウ!!俺の最高の笑顔をプレゼント☆

帰宅。
今晩からこのシャンプーをつかってユキとのラブな夢を見よう。

PM10:30
うちのババァと妹に使用される…………
「お兄ちゃんあのシャンプーまじいいね!香りが特に!ほらほら妹の残り香」
「カイト〜アンタなに色気づいちゃって!ふん、でもこれは悪くないわね」

ユキの香りが一瞬にして家族の香りに変わってしまった。
……その日はいつものミント系シャンプーを使用する(涙)これがいわゆる正負の法則?!

おやすみユキ。
せめて夢で逢えますように♡♡

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腐女子3人衆再臨

「ユッキ〜ッ!!!♡モ〜ニ〜ンー!!!!♡」
「うわっ!!カイっ…」
校門に僕が一歩踏み入れたと同時に、カイトが僕に抱きついてくる…
「今日もめっさ可愛いな♡ユキ大好き」
犬か何かにじゃれつくかのように僕の頭をかき混ぜる。朝っぱらから人前でこんな事をされ、僕は必死でもがく。
が…、僕の脇腹から腰にまわしたカイトの左手が、僕がもがけばもがくほど負けじと力を込める。…こいつ!
「てめっ!わっ!顔をつけるなっ!!!」
カシャカシャカシャ!
突然の電子音とフラッシュ。デジカメ?!
「きゃっ♡朝萌注入完了っす!」
あばれて変なふうに絡み合ってしまった僕らを、佐伯ら『腐女子3人衆』は、それぞれの携帯やらデジカメで撮影し…その場で映像の確認をするやいなやそそくさと走り去って行く。
「カイト!なにピースなんてしてんだよ!」
「てへへ」
『てへへ』じゃねーよ!……そう言おうとしてやめる。カイトはいつもの屈託のない笑顔にもどってる。
「ユキ、俺さ 次はもっとがんばるよ」
真面目な顔をしてカイトが言う。

「うん」

本当に、良かった……。

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君との絆

液晶に映る文字には時々、音としての言葉より、心をかき乱すような魔力めいた何かが潜んでる。でもそれは、人間の不安や錯覚が自ずとそう感じさせているだけだ。僕はそう思うようにしてる。

『好きだよ、ユキ』

«好き»という言葉。一瞬先輩を想う僕の気持ちのそれとダブって、同時に僕は自分を恥じた…

いつもの冗談だ。それに(自分でいうのもおこがましいけど)、実際カイトは友人として僕を好きでいてくれる。僕の為に笑い、怒り、涙まで流してくれる。果たしてこの世のどれだけの人間が、そんな存在に巡り会えることが出来るだろう?そんな大切な絆を、僕のBL感情と一色単にしてしまうなんて…病んでるのかな、僕は…はあ

冗談が言えるのなら明日は大丈夫。きっと…

いつの間にか太陽がオレンジ色に染まってる。海を同じ色ににじませて、じわじわと空の底に落ちていく…
僕は安心して、星がそれの代わりに現れるまで、ずっと海を見ていた…波の音だけが昼と変わらずひびいてる。

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『好きだよ』

メールの返信は無い。
結局カイトはあれから何処へいったのか…返信くらいできるだろ?人がこんなに心配してやってるのに。

一人で帰るのは久しぶりだ。何となく海が見たくなって、次の駅まで堤防沿いの細い歩道を歩く事にした。海水浴客やサーファーやらでうじゃうじゃしてた夏が少しだけ懐かしい。浜にも海にも人気は無い。鳶はあいかわらず獲物を狙って飛び回ってるけど…。

やっぱり先輩に嫌われたかな?  でも僕は間違っていない。そう自分に言い聞かせて気持ちを落ち着かせる。

携帯が振動した。着信ランプが黄緑色に点滅する。
カイトだ。
僕は堤防にあがってそこに腰をおろす。少しは復活したのだろうか?
『ごめん』
メールとはいえ、やっと連絡がついて僕はホッとした。励ましのメールを送ろうと返信キーを押そうとした瞬間、何列かの改行の後にまだメッセージが残ってるのに気づいた。

『好きだよ、ユキ』

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先輩でも許せないこと3

信じられない…。先輩の言葉に僕は愕然とする。

「柏原。お前、良くないぞ」
厳しい表情だった。それを聞いて珠子が唇の右端をあげて笑う。勝利者のように…
「何言ってんの?おかしいのは先輩だよ! 悪いのはそいつだろ?なんで俺を責めるの?!」
先輩に自分を否定された事に動転したのか、思わず声を荒げてしまった。さぞやまわりの注目をあびてしまっているだろう。先輩は落ち着いた…そして低い口調で答えた。

「俺も西園寺も、友人は選べって言ってるんだ」

先輩は他人の優劣を成績や見かけで判断するような人じゃなかったはずだ。
それなのに…それなのに…

「カイトは僕の大切な友人です…僕の為に泣いてくれるただ一人の親友です!もう2度と…僕の前でカイトを悪く言わないでください」

たとえ先輩でも許せないことだってあるんだ。

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先輩でも許せないこと2

「あっははははははっ!見てよ晴彦君この成績!」
珠子。しかも先輩まで現れた。
「かしこいようには見えなかったけど、こうまでヒドいとはね!」
「あっ!カイト!」
カイトは猛スピードでその場から走り去った…泣きながら…追わなくちゃと一瞬思ったけど、それより僕はやらなくちゃいけない事がある。先輩の前でも関係ない。
「人を見下して笑ってる人間が、どう人を評価できるっていうんだよ」
僕は珠子をまっすぐ見て言った。珠子の顔が硬直した。それでも僕は続ける。
「あんたは自分の尺度でカイトをバカにしてるけど、僕からしたら…あんたこそ最低な人間だ」
「…なによ」
この間のカイトの『ブス』発言よりよほど効いたのか、あの口の悪い珠子が反論できずにいる。言いたい事はもっとあったが、後ろに控えてた先輩が初めて口を開いて、僕はそれを中断せざるおえなくなった。

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先輩でも許せないこと1

中間試験結果掲示。
1年と2年は同じ場所にそれぞれ貼りつけられる。

僕の成績?中の中。…まあそこそこ努力してこの結果だ。
2年の上位にはとうぜん先輩の名前がある。ていうか 『1位』 だ!!!いつもながらスゴい…
まるで自分の事みたいに高揚してる僕のかたわらで、真っ青な顔をして掲示板をみつめるオトコ一人。その視線の先にあるもの。

『1-A 夏目 カイト     順位 285/290』

「げ…、元気だせよ!カイト ほら後ろに5人もいるじゃないか」
「ユキ…俺今回結構勉強してたよな?徹夜とかしちゃったりして…なのにハハハハ」
まずい…前回の期末の時は立ち直るまでに10日もかかったんだっけ。すでに涙やら鼻水やらでカイトの顔はぐしゃぐしゃになってる。
「ほらっしっかりしろよ!それに前より順位あがってんじゃん!」
またBLとか噂されるかもしれないのを忘れて、カイトの顔をハンカチでふいてやる。
「…ごめんユキ俺バカで…いっそゴミ虫っていってくれよ…」
「ゴ、ゴミ?!、いわねーよ !あ〜も〜…わっ!もたれかかるな!」

カイトを連れて帰ろうとしたとき、『あの女』が再び登場した。

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聞くんじゃなかった…

「『BL』…それは乙女の聖域、オトコの子とオトコの子の切なくも美しい恋の青春よ」
サクはブドウを房ごとかじりながら言う。
「素敵!ママはカイト君にぜひユキちゃんのお婿になってほしいわ」
「だめよママ、ユキは鷹木先輩ラブなんだから〜」
母がリビングでくつろいでいるって事は原稿を無事終えたって事だ(母、柏原 ウタはふりふり系少女漫画家)……嫌な予感はしてたんだ……(つうかサク…お前母さんにも鷹木先輩の事を)
僕は頭の中を整理する。
つまり
『柏原君たち』?
恋の青春?
僕とカイトがボーイズラブ

「ユキ?ちょっとユキ!やだママこの子かたまっちゃてる」

ああもう、腐女子ってやつは…

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『ボーイズラブ』だって

朝一、クラスの女子数人が僕の席に集まってくる。
一見音無そうな面々、左から佐伯 葵、新城 ルリ、日野 麗子。

「ねえ、柏原君達って…」
言いにくいのか、もったいぶっているのか…3人顔を見合わせながらなかなか切り出さない。
「何?どうしたの?」
「怒らない?」
「…怒るもなにも、聞いてからじゃないと」
3人が一斉に深呼吸、一列横隊。

「柏原君とー夏目君ってー『ボーイズラブ』なの?!!!!!」
ガタッ
 斜め後ろのカイトが椅子から落ちた。
「キャ♡言っちゃった♡」
「え?…ボーイズラブって?なに?」
「昨日二人、昼休み後戻らなかったじゃない?!それにこの前の2年生の…西園寺さんの時も、ほらあれは三角関係のもつれ?!つまり私たちね……悟ったの!!!」
このテンションの異様な高さ、…ハッ!このオーラ、『サク』! もしやこいつら
「私達、応援してるから!!!BL魂注入されてるから!!」
なんの事かわからなかったけど、とりあえずなにか言うべきなのだと思い(なんの応援なんだろう)
「どうも」
「きゃあ♡やっぱり!」

帰ったらサクに『ボーイズラブ』について聞いてみよう。

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ナミダ、こぼれる…手のひら

「あああああああっ ホンットむかつくっあの女!」
翌日の、(珠子事件の)昼休み。校舎の屋上でカイトが叫ぶ。
「なんでお前が怒るんだよ。…それにあいつの言う事、嘘じゃないし」
中学の時の僕と先輩の話はまたあとで語るとして、『言葉』による攻撃には、どうやら僕は慣れてしまっているらしい。『いじめ』から身を護る為に学習した錯覚なのか逃避なのかは分からないけれど…
「傷つくだろ?!嘘じゃなくたって!そんなの、おかしいだろ?!」
「…平気だよ…俺は。だからなんでお前が泣くの?…」
カイトは泣いていた。
自分でも気づいていなかったのか、僕がそういうと、カイトはその場でしゃがみ込んで顔を覆う。

「なんで俺、その時ユキの側にいなかったんだろ…なんで逢えなかったんだろ…」
いたたまれなくなって、僕はカイトの隣に座って必死になだめる。
「カイト、ほら、俺は全然大丈夫だから」
わざと笑ってカイトを覗き込む。

「俺が、ユキを守って…やれたのに」

涙声でカイトがそんな事言うから、突然胸が震えた。自分の頬が濡れているのに気づいた。
それをぬぐって逆の手でカイトの手に触れる。サクがそうするようにそっと握る。そうする事で安堵感を得ていたのはきっと僕の方だったかもしれない。
…ああやっぱり僕は、過去を忘れられていなかったんだ。

始業のベルが鳴っても、僕らは動こうとしなかった。
ずっと手をつないで、青天を見てた。Blog5

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恋の刺客

「放っとけないんだわ、彼。そういう…弱い子?」
「でも、未だにべったりなんて、迷惑な話だと思わない?」
僕は息が止まりそうになった。忘れていた傷の痛みより、傷を笑って暴こうとする無神経さに脳が麻痺しているみたいだ。教室が沈黙する…立ち尽くす僕。
ドンッ!
激しい破壊音に我に返る。その音の先にカイトがいる。どうやら壁を蹴ったらしい。

「もうすぐ授業始まるんスけど? …いい加減帰れよ!ブス!」
瞬時、珠子が激昂した。つかつかとカイトの目前に進む。
「は?ブス?あたしが?!」
「ヤな女だな、お前。想像した通り」
「カイト…!」
僕が静止したその時、予鈴のベルが鳴った。
「随分いい友達じゃない。晴彦君にも言っといてあげる」

…台風のように、爪跡を残して彼女は退場していった。

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台風女

教室。
昼食を終えて、授業開始までの貴重な時間を、カイトやもう一人のクラスメイトとでいつもの無駄話。なんて事ないいつもの光景。
「ねえ、柏原君。なんか呼んでるよ」
女子が指差す教室の開け放しの扉をみると、見覚えのある人物こっちを見てる。…呼んでる?僕を?なんで?
急かされて仕方なく席をたつ。急にクラスが静まり返った。それほどにインパクトのある訪問者。
「な〜んだ!ほんとに男の子だったんだ。『ユキ』君?可愛い名前」
近くで見ると、テレビや雑誌から抜け出たよう。ポーズをとるように腰に片手を当てて、僕を見る。
『西園寺珠子』だ。
「あの、なにか?」
「晴彦君と話してると、ユキユキうるさいんだもん。『彼女』としては気になるでしょ?」
「……はあ」
「じゃあこれはホント? 中学時代いじめられっこだった君を、彼が助けた」Blog7

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先輩の彼女

西園寺珠子17。先輩の彼女。
僕がこの高校に入学して一番ショックを受けた事。
黒い濡れたようなまっすぐな長い髪、すらっとのびた細くて長い足。目鼻立ちの整った、いわゆる美少女。

『彼女』がいないって方が先輩にとっては似つかわしくないのかもしれないけど…。
校内で2人を見かけるたびに、先輩が好きなのは西園寺珠子なんだって事に落ち込むはめになる。
「あ〜あれ、2年の西園寺だろ? きっつそーな女」
カイトが他人を悪く言うなんて(特に女子の)そうそうある事じゃないが…
「面識も無いくせに」
「無.く.て.も。俺様ほどになると分かんの。鷹木さんも趣味悪ーぃな」

だけどまさか、カイト曰く『きつそーな女、西園寺珠子』が僕に悲劇をもたらす事になろうとは…この時はまだ知る由もなかったんだ。

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2人だけの空間で

「おはよう」
「あっ…おはようございます」
青い電車がすべりこむ。朝練に行くのだろう先輩と、時間がかちあってしまったみたいだ。
先輩の家は僕の家とはそう遠くなく、必然的に同じ駅を使う。
始発電車の乗客は、僕らと、連結部分の右端の椅子に座っているサラリーマン。(彼は爆睡中で下半身がほぼ椅子からずり落ちてる)
別々に座るのも何だかわざとらしいので、少し離れて先輩の横に座った。
朝挨拶をかわしたきり、どちらも一言も発さない。僕はともかく、こんな先輩はめずらしい。
そっと先輩の方を見たら、僕とは逆側の窓を見てる。その角度が、キレイに通った先輩の鼻梁を際立たせる。
「鷹木先輩」
僕は思い切って(精一杯の笑顔で)口火をきる。僕はとにかく先輩の声が聞きたかった。
「え?」
少し驚いたように先輩はこっちを向いた。
「俺の絵、今度見てくれませんか?ちょっとは人に見せられるのが…描けるようになったから」
「ホントか?今まで何回頼んだってはぐらかしてきたくせに」
「だからそれは…自信のいくものが無くて」
「楽しみだな、俺そういうセンスが無いからうらやましいよ」
「えー!?それ以上特技があったら不公平だよ!」
いつの間にか、先輩はいつもの気さくな笑顔に戻り、僕も不思議なくらい自然にふるまえた。

間もなく到着のアナウンスが流れ、同じタイミングで立ち上がる。
急に電車が揺れて一瞬足がぐらついた。
浮いた腕を先輩がつかんで支えた。

爆睡中だったサラリーマンが完璧に椅子から落ちた。

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雨上がり、水たまり、白い月

地面が濡れてる。昨日の夜、雨降ってたんだ?
キラキラと水たまりが空を反射してる。

部活の課題をすっかり忘れてた。もう少しで完成ってところで、どんな色を使ったら良いかわからなくなり、ずっと後回しにしていたらついに期限になってしまった。でも2時間もあればなんとかなるだろう。今ならわかる。絵皿に今見ている色をつくろう。光るすべてをあの水彩画に映しとろう。
僕は人の気配ない駅までの道を走る。
時々この世界は、途方も無く優しく、美しい。

『ただいま、お帰り、お疲れ、またいつか…』

始発電車に乗り込む為に、僕はホームに駆け込んだ。

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先輩の前で肩を抱かれる、その2

射った弓が、高音をあげて走る。
袴姿の先輩の凛々しい姿。(映画を1シーンをみるようにそれは美しい)
先輩は弓道部の新しき部長だ。

残念ながら今日は後輩の指導の真っ最中らしい。1年の女子が何人か先輩の周りをとりまいている。
立ち止まるでもなく、横目で先輩を見ながら楓並木を後にするはずだった。それが…たまたま顔をあげた先輩の目に運悪く(?)僕が映ってしまったらしいのだ。後輩に何か言付けて防御網に先輩が走ってくる。

「大丈夫だったか?昨日。」
先輩は日曜の朝の事を気にしていてくれたらしい。なのに僕は、いつものぎこちなさを隠せない。それでも2人きりじゃないせいかなんとか赤面せずにいられた。
「ありがとうございます。全然大丈夫」
「そっか…なら良かった。でも気をつけろよ お前しょっちゅー風邪ひくんだから」
心配してくれていた。正直うれしくなって顔がゆるむ。
「へー!ユキ、『全校生のあこがれの的鷹木さん』と知り合いなんだ!」
カイトがいきなり、しかももの凄い力で僕の肩を抱いた。突然のことに振り払おうとする僕の抗議を無視し、カイトはいつもの軽い笑顔で先輩を見ている。
「柏原、誰だこいつ」
「えっっとっ…同じクラスの…ってカイトいい加減に放せって!」
「はっじめまして〜!ユキの彼氏の夏目カイトでーす!鷹木センパイ」
まったくこいつは……あきれて力が一気に抜ける。その時だー。先輩が怒りのような、今迄に見た事も無い顔をしていたのは。ああ…カイトのこの軽いノリ……生真面目な先輩はそういうのが嫌いに違いない。
「じゃあもどるから。またな柏原」
そういって不機嫌そうに戻っていく。
「あらら、行っちゃった」
「お前のせいだろ」
カイトのみぞおちに軽く拳を当てる。それで僕らも校門へむかった。

確かに先輩は怒ってた。
間をおけばおくほど確定的に思えてきて、心が痛む。ちくちくする。
一人でしゃべるカイトに適当に相づちをうち、大好きな『スグリミツマメ』の味すら覚えていない。

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先輩の前で肩を抱かれる、その1

なんといったらいいのか…気にする必要も無いけど、少し後味の悪いような今日の出来事。
凪いだ鈍色の海みたいに。

「ユーキ!帰りさ、『スグリ屋』よってかね?!」
こいつは同じクラスの«夏目カイト»。入学以来強引な馴れ馴れしさで、いつの間にか、結構気のおけない「友達」。試験と空腹の時以外はいつもけらけら笑ってるような、根っから明るい奴。(しかも女子に凄まじくモテる…)スグリ屋というのは、駅前の絶品甘味処。実は僕は、男のくせにかなりの甘党だ。

試験明け+スグリ屋のミツマメを食するのに断る理由などなく、試験中制約をしいていた深夜のバラエティ番組やら、カイトのアイドル談議で盛り上がりながら、校門迄の長い楓並木を歩いてく。
途中、女子達がこっちを見てキャアキャア言ってるのがわかる。カイトと一緒の時はいつもそうだ。
「カイト、お前芸能人みたいじゃん! 彼女が出来たら大変だろうな」
僕はひやかす感じでカイトを見る。
「恐〜っ女子の嫉妬は怖いからな〜…ま、好きな奴はいるんだけど」
「えっ! なんだよ!知らなかった、誰だよ教えろよ」
「ユキ」
……まったく……もう少しマシな冗談をいえばいいのに。
「バーカ! もう聞かないぞ」
「はぁ〜片想いなんだよな〜これでも結構悩んでるんだぜ?」
長身のカイトの顔を見上げる。いつになく真面目な表情だ。
カイトを振る女子なんてこの学校にいるんだろうか?僕はまだ見ぬカイトの想い人を想像しながら、歩みをすすめた。
楓並木を少し行くと、並木横に第二部活連場が見える。
今日は試験最終日だから、部活動も解禁され騒がしい。
カイトにさとられないよう注意しながら、部活連の一角を見る。防御ネットの裏に弓道部の練習場。絶好のビューポイント。

ここに先輩がいる。そして初めにいった『事件』の幕開け……
 Blog6

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星のヒカリで

サクの言う通り、恋にルールを強いるなんて下らない。第一好きになってしまったのだから
仕方ない…。サクは二次元のキャラを想い、僕は同性の先輩を想い…だけど押し付けられた生身の人間は
どうだろう。先輩はきっと僕を軽蔑する。きっと避けるようになる。そして悲嘆にくれる僕がまぶたの
裏に映ってる……

……ようするに僕は嫌われる事が何よりも恐ろしい。壊れてしまうのが耐えられない。
窓の外、夜空に瞬く星の光に願う。
出来る事なら、先輩へのこの気持ちを消滅させてほしい。

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アマンダ☆塩小路の助言

Blog4
「でね、ジョディさんのコスが萌Pで〜♪完璧な«エンジェル水道橋»だったんだ〜!最後の集合写真もめっさ感動しちゃってデジカメの……ってユキ聞いてんの?!」
いつもの『アマンダ☆塩小路』こと、双子の姉サクのコスイベント報告だ。
僕が何をしていようとお構い無し…録画していたUFOの特番のいいところだったのに(涙)。
「今日はうんうん聞いてやるほど心の余裕が無いんだよ。サク…」
「ひゅ〜ひゅ〜!あれだ!鷹木先輩系??ユキちゃんってほんとーに乙女ね〜ひゅ〜っ!」
僕の座るソファーの前でサクは怪しげな舞を(挑発の舞)を踊っている。…アマンダまじむかつく…
「ちがうよ」
「嘘。双子の電波なめちゃ困るわ」
サクのカンの良さは折り紙つきだ。双子云々よりも第六感みたいなのがあるんじゃないかと思う。
僕の鷹木先輩への想いも、高校へ入学する前にバレてしまった。
「大丈夫だよユキ、あんたは一々悩み過ぎ」
隣へ座って僕の手を握る。僕を励ますときのサクの癖。
「だから、違うって…」
「男子だから女子とか、その逆が当たり前なんて…あたしは違うとおもう。その人のさ…恋が成就するか
否かの辛さなんて誰だって一緒でしょ?ほら!元気出せって!」
「…じゃあ…サクは、どうなの?」
そういえばサクには想う人がいるのだろうか?
「ふ、ふふふふふふふふ……」
「な、なんだよ」
サクはすっくと立ち上がり、高らかに叫んだ!
「ミハエルン=ド=フラン=ジョセフーィン様♡♡♡」

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日曜の朝

海から吹く風は少し寒いくらいだった。
台風が近づいてるっていうけど、今日は朝から透けるような青が空をおおっていた。

珍しく早起きしてしまったのは、徹夜明けであろうサクが出かけた騒音で目が覚めてしまったからだ。
時間を持て余した僕は、退屈しのぎに海でも見に行こうかと思い立ったのだ。(家から10分も歩けば
浜に出られる)

「柏原! 早いじゃないか、こんな朝にどこ行くんだよ」
「っ!!!」
後ろから射抜かれた。 『先輩』  だ。
先輩はみるから朝のジョギングの最中らしい。汗だくで、相当走ってきたのだろうに、眩むような笑顔で
僕を見てる。
「え、ああ…コンビニまで」
無意味な嘘、ちいさな罪悪感。
「ふうん。じゃコンビニまで一緒に走るか?!」
「じょ冗談!…俺、体力ないし」
「なに言ってんだ。 中学ん時はテニス部でいいとこ迄いったくせに。…ま、今日は勘弁してやるよ」
僕はうつむく。顔はひどく赤くなっているに違いない。
「リ、ン、ゴ。みたいだぞ? 熱でもあるんじゃないのか」
「うっ………」
はずかしい。
「家帰れよ。お前風邪でも…」
もう少しで額に手をあてられそうになって、僕はきびすを返した。
「柏原!ちゃんと寝とけよー」

海風が救いだった。見透かすように、火照った頬の脇を通りすぎていく……。

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深夜にて…

隣のサクの部屋から、ずっとミシンの音が響いている…
今朝「今日は修羅場だから」と行ったきり、部屋にずっとこもっている。おそらく日曜は
いつものコスプレイベントがあるのだろう。

…さっきも紹介したように、双子の姉サクは、「腐女子」だ。

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先輩

先輩。一つ上の 鷹木 晴彦。

スポーツ万能、頭脳明晰、容姿端麗。
もし性格の悪い奴だったら、日々悩む事もなかったのに!…なぜあんなに爽やかなのか…なぜあんなに…

……………とにかく僕は、先輩とは中学もいっしょで、地獄のような猛勉強の果て、先輩と同じこの高校に
入学したのだった。

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プロローグ

高校1年男子、柏原ユキ。

ここは海の見える街、太平洋を望みながら走る電車で2つ先の高校へ通ってる。
入学してから半年もすぎて、高校生活もやや退屈気味だ。
それでも電車からの窓越しに見える海や空、残暑の名残で散り際を忘れたような
校門のサルスベリの花。なんだかそういうビビットな色の襲撃は、僕の瞳の裏で
花火のようにはじけて、……なんというかトキメイてしまう。サクにいわせると、
(あ、サクっていうのは僕の双子の姉)少女趣味だって…ひどい…ただでさえ顔や
名前が女みたいなのに、身内からとどめをさされるとは思わなかった…(苦)

えーと、部活は美術部。(課題をだせばいいだけなのでほとんど帰宅部だけど)
趣味は水彩画、フルート(母の趣味で6歳から始めた。でも家以外では極秘趣味)
家族は、大学講師の父、少女漫画家の母、腐女子姉(サク)、そして僕だ。

あと何を言えばいいかな…。
…うん僕は今、同じ高校の先輩に恋をしてる。 きっとこの恋は、報われない…

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