海岸線に沿って走る道路を先輩が走る。
僕は浜辺に腰を下ろしてその姿をずっと見てた。
早朝、先輩の日課のランニングにつき合ってみたものの、結局途中で僕はへばってしまった。
朝焼けがまぶしい。
息を整えながら、なぜか僕はとても誇らしいような、嬉しいような…そんな気持ち。
静かな波の音、この海にはまだ誰も居ない。
今だけは僕が先輩を独占しているような気がして思わずニヤけてしまいそうだ。
「なんだ、先に帰っててもよかったのに」
汗だくでも全然不潔さを感じない先輩が、ランニングを終えて僕の横に座る。
「でも、先輩の家に一人で帰れないでしょ?」
「ハハ だからお前は遠慮しすぎなんだよ」
そう言って、僕が先に飲みかけたミネラルウォーターを口にする。
「途中のコンビニで、ジュースでも買ってやるよ うちお茶と水しかないからイヤだったろ?」
先輩は僕が、甘党なのをよく知ってる。
「…そんな事ないけど でも、…じゃ甘いカフェオレ!」
「はいはい」
「…ねえ先輩 また先輩のランニングにつき合ってもいい?」
つい本音を口にしてしまった。
うれしくて、いとおしくて…言った事に後悔するゆとりも僕にはなかった。
「…ああ…」
先輩は海の果てをまぶしそうに見ながらそう言った。
「やった」
僕は素直に笑った。
「なあ、柏原…オレは」
「え?」
「…いや 何でもない そろそろいくか!」
一瞬、先輩の横顔が、少しだけ辛そうにみえた。
でもそれはほんの一瞬で、その時僕はたいして気にとめもしなかった。
ああ、こうして先輩とずっと一緒にいられたらいいのに…
いっそ時間が止まってしまえばいいのに