番外編「来栖礼壱の場合4」
中3の時、初めて好きなったのは自分と同じ男子で、それを自覚したあたりからオレはゲイなんだと認めざるをえなくなった。
まわりの友達がグラビアやアイドルの話で盛り上がったり、ましてやこっそり回し読みをしていたエロ雑誌にも全く興味がなかった。
どっかおかしいのかと不安になった事もあったけど、結局女を好きになれないのだから仕方ない。
来栖のいわく『処女』(男だけど…)なんてものはその頃捨てて、でもなんというか…抱かれたとたんに一気に冷めて、その相手とは別れてしまった。
多分、オレが当時好きだった«そいつ»には興味本位みたいなものが気持ちより先立っていて(ノンケに手を出したオレもオレだけど)…馬鹿みたいに口を開けて眠るそいつを見ながら、酷く情けない思いに駆られたのを覚えてる。
それからは絶対男に恋なんてしないっ…て
誓ったというのに……
人目惚れ?!
こうまで自分が乙女な奴とは思わなかった。
いつものように部活を終えて、コートの片付けをしていると突然大粒の雨。
「なんだよ 傘ねーや」
「夕立ならシャワー浴びてる間に止んじまうかもよ」
仲間とそんな話をしながら、濡れた額を拭う。
ワックスべたべた 気持ち悪ぃ…
シャワーと着替えと、教室へテキストを取りに行ったり…
でも結局
雨は止まなかった。
酷い降りではなかったけどどうするかと悩み昇降口に立つ。
せっかくシャワーを浴びたのにあきらめるしかないか、ちっちっ…
一雨毎に春が来る。
そんなもんかね?
季節はずれの夕立、遠くの春雷。灰色の雲がぞわぞわ流れてく…
ふと前を横切る大振りの濃いインディゴの傘… え?!
「あっ! ハハハ 可哀想に…いいよ 駅まで入ってく?」
「来栖!!!」
来栖が傘をオレの方に差し出した。まだ入るなんて言ってないぞ!
それに…いくらなんでも男二人で入ったら
お前の肩が濡れちゃうだろ?
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