三倉崎楓.2
(嘘なんだよ……。僕が汚れも知らない 無垢な人間だなんてのは)
目をつけられて、暴力を振るわれるのは慣れてる。
でもさっき腹を蹴られた衝撃は、今までされたどの暴力よりも激しい痛みだった気がする。
まだ痺れが取れない。腹に力が入らず叫び声も出ない。
化学室に連れ込まれ、立ち上がろうとしたところにもう一度、今度は足を蹴られた。
こいつは見えないところばかり狙ってるんだ…
「ちょっと なんで… なんでこんな事するんだよっ! 僕があんたに何をしたって」
「なんで? ハハハ!なんでって …面白れーからだろ?…」
「…っ?! なにするんだよ!!い、嫌だっ!!!」
ミクラザキが僕のベルトに手をかける。
その片方の手で、僕の抵抗する両方の腕は僕の頭の上で易々と封じられもう自由が無い。
何かが違った…
違う、次は殴られたり、蹴られたりするわけじゃない…
じゃあこいつは僕に何を…
「あ?嫌だ? なあ、もっと嫌がれよ…」
「え?!…や め ろ よ!!いや だっ!!」
ズボンが下着ごと下ろされ、暴れる両足を思い切り抱え上げられた。
「な、何をっ?!」
恐怖の眼差しでミクラザキを見上げる僕と、嘲笑をたたえて見下げるあいつ…
「っ!!!」
(だから僕が何も知らないなんて 嘘なんだ……)
「痛っ…!!…っ い た いっ!!助け…っ」
今までに経験した事の無いような激しい痛みだった。
身体の中心を突き抜かれ、それが何度も乱暴に 連続する…
「あれ?なんだ 君 鷹木と 何も してないんだ?オレが初めての男になっちゃったな?ハハハ!かわいそ」
僕は、僕の足の間で僕を蔑み続けるミクラザキをやっとの思いで見返して
そして
僕があいつに女にされているのだという事を自覚した。
屈辱とそれでも消えない恐怖と、そんな自分への怒りと…
(そうだ あいつが しねばいいと おもったのは ぼくが さきだったのに)
あいつは僕を執拗に付け狙った。
逃げれば捕まえられる。
携帯で学校のどこかへ呼び出されて、暴力をふるわれ、またあの行為をされる。
行く必要なんて無い…初め呼び出しを無視したら、
『柏原君、姉さんいんだろ? オレは女でも構わないんだぜ?』
メールにそう書かれてたんだ…
脅しかもしれなかったけど
僕はそれだけは守らなければならなかった。
あいつは危険だ。 きっとサクでも敵わない… サクは女の子だ… 男の僕はそれさえも暴力と思い込めばいい。でもサクは…
そのうちあいつも飽きるかもしれない。
その前に僕の身体が壊れるかもしれないけど… でも
サクを守ってるんだというプライドだけが、今の(あの時の)僕の最期の砦だったのかもしれない。
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