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誓い、エピローグ

空に響く蝉の鳴き声。
夏が終われば彼らも地に落ちる。

間もなく果てる でもその声には決して…その憂いや無情などは微塵も感じられない。

彼らは いや…人以外の大抵の動物は 精一杯生きて

そして潔く 高潔に 死んで逝くんだ。
 

この日僕は初めて、先輩の墓参りをした。
皮肉にもその墓は、三倉崎が埋まっている山の真横の高台に立てられていた。

手を合わせて

立ち上がり、その山の方向を見る。

「さよなら… 僕はもう お前を恐れない」

先輩の真新しい墓には、それには不釣り合いな様な向日葵が供えられていた。

その鮮やかな黄色
その高台を囲む木々から聞こえる蝉の声
入道雲
青空
氷の割れる音……… 氷?

『何見てるの?』

『ひまわり きいろいの きれい…』

何かを 思い出しかけて そのイメージが溢れてかけては 炭酸の水泡のように弾ける。

「また来るからね 先輩が向こうで恥ずかしくならないように 僕はつよくなるから… そしたらまたここに帰ってくるからね」

 
 
幾度目かの電車が発車する。
ホームのベンチに座る僕とカイト。

「次 青い車両が来たらそれに乗ろう」
「……なあユキ 無理しなくていいんだぜ? 嫌なら直ぐ会えるんだし」

カイトが心配したような目で、僕を下から覗き込んだ。 

「違うんだよ… 今この時が 大事なんだなって思ってて」

僕は決めた。
カイトと一緒に街を出る。

これからの事はいずれ答えを出さなきゃいけない… でも 今はカイトと生きて行くことになんだか期待めいた…生きる意味を感じていた。

その後の事は 落ち着いたら かんがえればいい。

「カイトこそ 後悔してるんじゃない? 僕なんかと生活したら面倒くさいよ?」

「ま そのめんどうが ど〜も放っとけないんだよな」

「僕結構 嫉妬深いよ」

「うっ 浮気なんかしねーよっ!! …もうsweat02 …………って ユキそれどういう意味?」

「あ!カイト 電車来た! 行こ!」

深い青色をした2両編成の車両が到着する。
乗り込もうとした僕にまたカイトが叫ぶ。

「ちゃんと言って!ユキ! オレまだ一回もユキの口から聞いた事無い」

そうだったっけ? そうか… そうだな…

好きだよ 僕 カイトが好き
 
 

やがてその車窓から見える 海 

「きれいだな」

人もまばらなその車内で、僕は後ろを向いてその静かな海を見ている。

脇で僕にもたれて寝息を立てるカイトの体温に安心して

僕は 長い長い海岸線の向こうに 誓い を立てた。


【終】


 


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