もう一つの世界へ
「うすっ!おっ!ヒッデーあざだなそれ! …あれ?! なに?!今日は可愛い彼女と一緒じゃねーの?」
「ああ?………はあ………」
昇降口に入るなり…クラスメートから朱里の事を振られるなんて…
「……別れてきた」
「は? ってマジ?! うっそだろ〜?!」
声がでかいぞ!
「別れたんだよ!だからもう一緒には居られねーの!」
「うーわ!東洋お前信じらんね! あんな可愛いのめった居ねーぞ?!」
もともと朱里からつき合おうと言われ
こいつの言う通り、別に嫌な気分でも無かったからつき合ったけど…
結局
あいつを友達以上に好きになれる事はなかったし
しかも今日
オレは決定的に
朱里とは一生相容れる事は無いんじゃないかと
思ってしまったんだ。
別れるにしても これは酷い とも思う…
でも
オレは朱里との別れを利用して
今までの自分ともさよならしたかった…
一刻も早く
自分勝手なのは重々承知…
教室には当たり前ながらルイは居ない。
一日中その空いた席を見て過ごす。
「……………」
授業中は退屈そうに頬杖をついて、黒板を眺めてた。
体育はいたって真面目だったな…
身体悪いくせに 結構本気だったんじゃないか?
(きっと人並み以上に負けず嫌いなのかもしれない)
猫をかぶってたとはいえ クラスメイトとの仲は良好だったし。
(ただしオレを除いては……)
なあルイ……
お前ひょっとしてオレに会いにこの学園に来たのか?
それともこれはオレの思い上がりか?
なあ…今どうしてる?
あの非道い兄貴に苛められてないか?
身体は少しは良いのか?
なんでオレは お前の事を忘れているんだろう?
「ルイ……」
この平和な教室
オレ以外の制服を着た生徒達に教師
このいい知れぬ疎外感
「どうした?! 山河!」
座って居られなかった。
「お、おい! 山河!!」
オレはそのまま立ち上がって、呼び止める教師を無視して教室を出た。
背後で一斉にざわめきが聞こえる。
昨日までオレが好んで居た場所。
オレにはそれが、足に深々と突き刺さる針のむしろのようで
とても耐えられたものでは 無かったんだ……
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