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鳥籠の方が未だましだ

鳴滝正宗side

「ああ… 灰になった… 星になって落ちた」
「起きていたんですか ルイ」

基地内の医務室
ルイ様はベッドの上で膝を抱えて座っている。
 

昨日未明、再度敵国が越境を仕掛け
国境軍は以前に破壊された霊的防衛網の再構築も未完成のまま前線に結界を張り
SW06による第弐拾八次不覚破壊作戦を決行した。
 

不覚破壊の大前提である霊的防衛網FRは、バグの発生でシステムがダウンし、急場しのぎの祟った結界は消滅。
そして唯一単体で結界を張れるSW06は作戦中に昏倒…

無防備に晒された国境は
結局、陸、空軍による物理的攻撃で戦闘に入らざるを得なくなった。
 
 

「戦闘機が星に見えましたね…」

「何人死んだ…?」

「貴方のせいじゃありませんよ…」

「………………」
 

灰も塵も… 星も 窓など無いこの部屋から見える訳がないのに
 

僕はベッドの空いたスペースに腰をかける。

膝に顔を突っ伏して
こっちを見ようともしないルイ様の髪を撫で
膝を抱えた手にそっと触れる。
 

「ルイ… 貴方が泣く必要はないんだ」

「……… 正宗 ………」

「はい なんでしょう?」

この時やっと彼は顔を上げ、僕を 

強く何かを訴えかけるような けれど涙で濡れた赤い瞳で 見上げた……
 

「僕は兄上が大嫌いだ…」

「そんな事をおっしゃってはいけません! 泰親様は心底…この帝都の御為に尽くしてらっしゃるのですよ」
 

「ここ…部屋は狭いし!ベッドも固いし!窓も、バルコニーも無い!もうこんな所居たくない!!」

「ルイ!!…もうすこしの辛抱ですから…ここから直ぐ先は戦場です。我が儘は…」
 

この僕の言葉が良くなかった… 
 

「 ハ…ハハ 正宗 もう少しの辛抱だって? …もう少しってなんだよ」

「ですから…」

パンッ

ルイが僕の手を激しくはらう。
 

「お前と兄上は もう何の役にも立たない僕が死ぬまで ここにずっと閉じ込めておくつもりか?!」
 

「ル イ… そんな ま さか…」

「鳥籠の方が未だましだ!!…… 僕は何時だって 戦場に置き去りだ……なのに  ……嫌いだ!! 僕は正宗だって大嫌いだ!!

「ル イ………」

ルイ様の悲痛な程のその叫びに
僕は何も返答が出来なかった。

…いや きっとまたルイ様の精神状態は良くない。

昨日の今日で しかも 睡眠もろくにとれず……

そうだ 軍医に薬を貰って…
 

「…………… 東洋 ……………」
 

「え……?」
 

ふたたび顔を背けたルイ様の口から漏れたその名前に

僕は己の耳を

疑った………

 


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