今ここで
【鳴滝正宗side】
子供の頃
ルイ様と僕は
«山河東洋»に出会っている。
それがルイ様にとって
ある転機になった事も僕は承知している。
けれど
「…ルイ なぜ 奴の名を呼ぶのですか?」
「東 洋は… 僕を助けようとしてくれた あいつに殴り掛かってまでして… 僕を」
消え入りそうな声で
これは僕の考え過ぎか… それはまるで 愛の告白のように聞こえた。
「いいですか ルイ… 奴は自分に感傷的であっただけです。 貴方を救うだなんて…貴方の事を何も知らない奴にそのような事が出来ると思いますか?」
おもわず語気が強くなり、ハッとして首を振って自分を落ち着かせる。
らしくない…
それ程余裕が失せている証拠か?
「……ルイ様 僕は… オレは貴方の何ですか?」
未だ顔を上げずに膝を抱えるルイ様の肩に触れて、そのまま両腕で静かに抱きしめた。
「ルイ…」
抵抗が無かったので抱える腕に力を込める。
「貴方をこの世で一番に想っているのは誰ですか?」
「…………」
疑われるのも結構… 気分次第で嫌いだと言われるだけなら我慢も出来る。
けれど
「あいつに貴方を奪われるのだけは我慢がならない……」
今ここで
僕の胸の中に顔を埋めるルイ様を 自分だけの物に出来たなら……
抱きしめて
口づけして
彼の身体を開き その奥に、僕自身の印を強く刻み込んで、
それで 離れかけた心が
元に戻るというのなら……
「正 宗… お前 僕を抱かないのか……?」
「……抱きません 今は」
だって貴方はきっと もっと遠くへ行ってしまうかもしれないでしょう?
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