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【48】捨てられた猫の話.5

「お前…っ いいからこっち来い…」
「なんだよ ちょっと…! 痛いって」

ここが病院の廊下だという事にハッとして、声のトーンを落とし 伊勢谷の腕を掴んで病室へ引っ張る。

病室には…自分で抜いてしまったんだろう…点滴の管が無造作に床に落ちている。
 

「ねえ なんで左京先生が居んの? なんで僕…病院に居んの?」

「はああ……なんでって…… 伊勢谷お前は寝てくれ…ほら! ああ… 頭痛くなってきた…」 

「ヤだよ〜!僕もう帰らないと… 土曜はバスケの試合だし 朝練も来いって言われてて… それにその後バイトが…」

?!

「バイト〜?annoyなんだそのバイトって?!初耳なんだが…? 大体 アルバイトは校則で禁止されてるだろ?!」

「おっ怒んなよsweat02 そう言われると思ったから黙ってたの… に… あ れ?……な んか くらくら してきた」
「伊勢谷っ」

身体を揺らして倒れそうになる伊勢谷を慌てて支える。
近くで見ると、目も潤んで赤い… きっと未だ熱があるのだろう。
 

「ほら見ろ! …大丈夫か?お前…肺炎おこしかけてるんだから…」

「……肺 炎?うっそだ 風邪じゃ…なくて?」

「冬のさなかに頭から水浴びして酷くなったんだろ? …。 …まあいいや とりあえずベッドに戻るんだ」

もう抵抗も、文句も言わない。
オレは伊勢谷を抱きかかえて、そのままベットに寝かせる。
 

「ん?どうした?」

ナースコールをしようとしたオレの腕を伊勢谷が掴んだ。
さっきのへらへらして表情とは打って変わり、深刻そうな顔でオレを見上げる。

見上げて… 目を伏せる。

「…なんでもないよ」

「お前………」
 

(何を考えてた?)
(なあ 伊勢谷… オレの方は 一晩中お前の事を考えてたんだぞ?)

両手で、未だ熱のある頬を包む。
 

ああ 良かった
ほんとうに
良かった………
 

「ゴメンね 先生… 泣かないでよ」
「泣くか」

伊勢谷 オレは お前の事が… こんなに好きなんだな…


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